私達を悩ませる煩悩の心所のお話し

三蔵「心の動き、心所は51個あると言ったね。

今日はその中でも特に私達を悩ませる煩悩の心所のお話をしよう。

煩悩に分類されている心所の中でも、根本にあるものが貪(とん)、瞋(しん)、痴(ち)。三毒とも言われています。

貪は貪ること、瞋は怒ること、痴は愚かなこと。

別に貪が八戒で、瞋が悟空で、痴が沙悟浄だと言っているわけではないよ。」

一同「あなたが今言うとります。」

三蔵「そして煩悩が生ずるのは痴による、とも言われているんだ。

私達は縁起によって生かされている。仏様の教えを理解できない。そのことから煩悩が生じているんだね。」

心が分かるにつれて不安が減って行きました

三蔵法師が、心に不安を抱えている玉竜と天女に自分の体験をお話しています。

「唯識には心の仕組みが事細かに説明されています。

心は眼、耳、鼻、舌、身、意識、末那識、阿頼耶識と八つの階層で成り立っていると説明しましたね。

その一つ一つに様々な心の動きがあります。それを心所といいます。全部で51個もあるんだね。

心所は大きく六つに分類されているんだけど、例えばその中の一つ、遍行という八つの階層全てで動く心所。

遍行には51個のうち触、作意、受、想、思の五つがあてはまります。

人が何かに触れることによって心が立ち上がり、それを認識して受け入れるまでの五つ。

私は唯識を学ぶ前は、心とは得体の知れない不気味なものという感覚があったけれど、心を事細かに説明してくれている唯識を学ぶうちに、不安が減って行きました。

お二方も、唯識の興味のあるところから、少しづつ学んでみてはいかがですか。」

「わかりました。お師匠様が妖怪に捕まっている間、僕は暇だから勉強してみます。」

「いや、そんときは助けてね。」

私たちは心が繊細なのだ

旅の道すがら、菩薩の身の回りの世話をしている天女も加わって、三蔵一行が世間話をしています。

三蔵「こう見えても、私は心が繊細なのだよ。」

一同「知ってます。」

玉竜「僕もそうです。新しいエピソードのたびに、お師匠様が妖怪につかまるでしょう。」

三蔵「ほっといてちょうだい。」

玉竜「悟空さんたちがお師匠様を助け出すまで、僕はビクビクしながら待ってるんですよ。

僕は生まれつき神経症で、パニック障害もあるんです。」

天女「あたしもそう。HSPで生きづらかったものだから、菩薩様のもとで修業でもしたいと思ってたら、ハローワークで菩薩様の身の回りの世話をする仕事を見つけたってわけ。」

悟空「君ら、さっきから何しゃべってんの?」

三蔵「悟空たちには分からないと思うけど、心が繊細で社会生活に苦労している人は結構いるんだよ。

そうだ、心が繊細な人も少しは安心できるように、唯識の話をしてあげよう。」