三蔵法師が、心に不安を抱えている玉竜と天女に自分の体験をお話しています。
「唯識には心の仕組みが事細かに説明されています。
心は眼、耳、鼻、舌、身、意識、末那識、阿頼耶識と八つの階層で成り立っていると説明しましたね。
その一つ一つに様々な心の動きがあります。それを心所といいます。全部で51個もあるんだね。
心所は大きく六つに分類されているんだけど、例えばその中の一つ、遍行という八つの階層全てで動く心所。
遍行には51個のうち触、作意、受、想、思の五つがあてはまります。
人が何かに触れることによって心が立ち上がり、それを認識して受け入れるまでの五つ。
私は唯識を学ぶ前は、心とは得体の知れない不気味なものという感覚があったけれど、心を事細かに説明してくれている唯識を学ぶうちに、不安が減って行きました。
お二方も、唯識の興味のあるところから、少しづつ学んでみてはいかがですか。」
「わかりました。お師匠様が妖怪に捕まっている間、僕は暇だから勉強してみます。」
「いや、そんときは助けてね。」