命は無色透明

三蔵法師が白竜と天女に唯識を深く学ぶきっかけになった話をしています。

三蔵「私は自分の出生に少し悲しい想いがあってね、いくら修行をしてもその気持を克服することができなかったんだ。

あるとき唯識を学んでいたら、心の一番深いところにある阿頼耶識は無覆無記、つまり善でも悪でもない、無色透明であると知ったのです。

そのとき長年の霧が晴れたような気持ちになりました。

善いことをしてきた人も無覆無記、悪いことをしてきた人も無覆無記、悲しい宿命を背負っているように見えても無覆無記。

宿命だとあきらめていても命は無色透明なんだと。

それから私は唯識を深く学ぶようになったのだよ。

ちなみに悪いことを繰り返せば、阿頼耶識は悪い香りに染まっていき(熏習(くんじゅう))、悪い行いを生み出す(現行)ことになるよ。勘違いしないようにね。」

白竜も天女も何やら深く考え込んでいるようです。

悟空「俺も孤独で生きてきた宿命から開放されそうです。」

三蔵「あんたは猿のボスやったやろ。」

悟空「すいません。嘘ついてました。」