強い者ばかりではないぞ・・・その二

一休「沢水困、困しみ難やむ(くるしみなやむ)という意味の卦の初爻じゃ。」

念知「ひえー、一休様どうすればいいのでしょう?」

一休「これは四大難卦の一つじゃな。」

念知「ひえー、どうすれば・・・。」

一休「困難窮乏に耐えられず、妄動するたびに悪くなっていく、そういうときじゃ。

しかしそれを辛抱してぐっと踏みとどまれ。それが最善策じゃ。」

念知「・・・。」

一休「明日になれば運気は変わる。それまでの辛抱じゃ。運気の移り変わりは全ての者に平等じゃ。念知、分かるな。」

念知「はい・・・。みなさんも同じなのですね。」

森女「一休様、このような子もいるのですね。易の有用なことも分かる気がします。」

強い者ばかりではないぞ・・・その一

一休さんと森女が易について話しています。

森女「一休様、私は占いに興味がありません。今日はいい日、悪い日、と言われてもそれでどうすればいいの、と思ってしまうのです。」

一休「森女ちゃんは強いからそのようなことが言えるのじゃよ。念知はおるか?」

念知「何でございましょう。」

一休「森女ちゃん、こやつは不安の病(不安神経症ですね)にかかっておっての、達磨大師様から不安をここに持って来いと言われて、こやつをポンと差し出せば”本当に持ってきよった!”と驚かれるくらいなんじゃ。」

念知「私で遊ばないでください。」

一休「念知、お前の今日の運気を占ってやったぞ。」

念知「ど、どんな結果だったのですか?」

若いときに易を知っていればよかった

桔梗屋の番頭さんが、いつものお届け物をもって一休さんのところへやって来ました。

番頭「一休様、今月のお米とお酒をお持ちしました。」

一休「いつもすまんのう。ところで、易の勉強は進んでおるかの。」

森女「あら番頭さん、易を学んでいるのですか。」

番頭「はい。一休様に教えていただいているのです。

先日は水地比、人様と親しむという卦を教えていただきました。

そしてその三爻に、そのようなときに遅れてくる者は何か魂胆があるということ。

昨日は天地否、天地が交わらない、物事がうまくいかないという卦。

そしてその五爻は、そのようなときにやっと光が見えてきた。

しかし、「それ亡びなんそれ亡びなん」と自戒しながら、油断せずに進めと。

本当にその通りだなぁ、といつも感心します。

今まで失敗ばかりしてきましたので、若いときに易を知っていればな、と後悔しております。」

関連する占いで同じ卦が出る不思議

新右衛門さんが手土産を持って一休さんを訪ねてきました。

天知「一休様、新右衛門さん何やら嬉しそうですね。」

一休「先日、仕事や家庭のことでテンパっておってな、相談に乗るついでに易を立ててやったのじゃよ。」

新右衛門「そうなんですよ。山火賁(ひ)の初九が出ましてな。見栄や虚勢を張らずに、身の丈にあった目標などを立ててはどうか、とご助言いただいたのです。」

一休「数日後、現状を占ってみると山火賁の上九を得てな、落ち着きを取り戻して運気好転と出た。」

天知「同じ卦とは、これまた不思議ですね。」

一休「長いこと易をやっていると、そのような不思議なことも起きるものじゃよ。」