「お師匠様はなぜ天竺に行くのですか。」孫悟空の問いに、猪八戒と沙悟浄も興味津々です。
「仏教の経典を求めに行くのだよ。特に唯識(ゆいしき)という一派のものが目的なのです。」
「なんだか難しそうですね。」
「人の心の仕組みを解き明かした経典なんだね。」
「簡単に説明すると、人の心の奥底には、まだ知られていない心があって、見たことや聞いたこと、考えたことなどがすべて溜まっていくというのです。」
「その溜まったものに影響を受けて、悪いことをする人は悪いことをするようになり、いいことをする人はいいことをするようになる、というのだね。」
「だから悟空はいつもカッとなって困るというけど、心がけ次第でカッとなることもなくなるのだよ。分かりましたか?」
全員が即座に答えました。「分かりません!」